2017年4月19日水曜日

$49パワー計のひずみゲージ考

以下はshimanoの特許図面。
パワーメータのトルク(図18のFΘ)算出には、他の3つの方向の力(図19のFz、図20のFrおよび図21のMから生じる捻じれ方向の力)をすべて測定したうえで、FΘの値を補正する必要があると知る。



上記図21の捻じれ方向の力はわかりにくいが、以下のパイオニア特許の図6(b)の通り、ペダル103を踏んだ時に、クランクアームには、rzの捻じれ方向の力が発生する。




パワー計測には、FΘの力だけを検出したい。しかし、ペダリング時には、Fr、Fzおよびrzの力がかかる。
シマノ特許の図18にある、上側のひずみゲージ138,178は、FΘの力がかかると伸びる。
しかし、Fz、Frおよびrzの力にも影響されて、実際には更に伸びてしまう。
その結果、乗り手にわかる現象として、ペダルの外側を踏むと、パワー値が実際よりも大きく出てしまう。
これを除去するには、rz、Fz、Frも測定してFΘから余分な力成分(rz、Fz,Frの影響度)を算出して除去する必要があるとのこと。

では、市販のパワーメータはどうなっているか。

以下、独断と偏見で、市販のパワーメータが、ひずみゲージが拾ってしまう余分な力成分をどのように処理しているか、分類してみた。
ちなみに私は、理工系の教育を一切受けていない、ド素人ですので、以下の内容は、勝手な妄想と思ってください。

■グループ1:余計な力成分を拾わないようメカ設計されている
 Powertap, InfoCrank

■グループ2:パワー算出用のトルク検出用とは別に、余計な力成分の検出用ひずみゲージを設けてパワー値の補正をしている。
 Shimano、Quarq Cinqo、4iii

■グループ3:上記グループ2のような補正はないが、構造上、余計な力成分の影響をあまり受けない。
 SRM。
 SRMは、ローギアのときは左に、トップギアのときは右にスパイダーアームが引っ張られ、余計なひずみが生じるが、この影響を補正する構造が見当たらない(少なくとも2ゲージのモデルでは)

■グループ4:パワー算出用のトルク検出は行うが、補正は行わない(潔い)。少なくともホビーレーサーのFTP領域以下では、補正を行う必要はなく、正確。
 R社INPower(たぶん)

■グループ5:ホビーレーサーのFTP領域ですら、トルクが不正確で補正なし。パワーメータとして機能しない。
 PowerCal、先日、自分で作った失敗パワーメータ。

$49.99の手作りパワーメーターはどのグループを目指すか。
今回は、お手軽お手頃に誰でも付けられるパワーメーターを目指したい。
「パワーメーターは欲しいが奥方の承認を得られない」という方でも、$49.99ならば「役員に飲み会に誘われて付いていったら、しょぼい居酒屋だった挙句、代金も均等負担だったつもり貯金」で賄える。

グループ1は論外。

只今、グループ2、3,4に属するものを実験中。











2 件のコメント:

  1. こんばんは。いつも興味深く拝見させて頂いています。
    レース指向でもないくせに、この手の製品にとても興味があって自作するのも面白そうと思っているのですが、ソフト的な補正さえかけられれば今まで作られてきた機材の延長線上で「お手軽なパワーメーター」というのは作れそうだと思っています。
    具体的には手作りのパワーメータと、Keo PowerやInpowerのように同時に装着可能なパワーメータを使って数値比較することでホビー的な用途に使えるものができるのではないかと思うのです。
    私はいわゆる理系に属する人間ですがハードはからっきしなので、記事を読んで色々工作ができるということに関してとてもうらやましく思っています。

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    1. コメントありがとうございます。
      パワー計は、レースに限らず、みんなで楽しいサイクリングでも、集団ペースを安定させるのに大変役立つので、なんとか手作りパワー計を普及させたいな、と思っています。
      ご指摘の通り、ソフト補正をかけられるとよいのですが、次の投稿($49パワー計のひずみゲージ考(2))のとおり、悩み中です。
      私は、SRMとPowertapを保有しており、手作りパワー計と数値比較を行っていますが、ホビーの範囲では、ソフト補正なしでも十分な数値がでるので、それでもよいかな、と思い始めています。
      「ハードはからっきし」とのこで、ソフト系の方かと推察いたしました。
      次回の投稿は、パワー計のソースコードを公開しようと思っています。
      小学生レベルのコードですが、お気づきの点がございましたら、遠慮なくコメントをいただければ幸いです。
      コメントに気付くのが遅れ、大変失礼いたしました。

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