2017年3月21日火曜日

49.99ドルで手作りパワーメーター




基本的な部品構成は:
- ひずみゲージ($7以下@ebay)
- AD7124-4(ADコンバーター $11@Digikey)
- D52Q(Dynastream製nRF52モジュール(マイコン) $17@Digikey)
- Reed スイッチ(300円@秋月)
- DCコンバータ(単四電池を3.3vへ昇圧)+SSOPピッチ変換基板(約350円@秋月)

動作は、ひずみゲージでクランクのひずみを計測し、ADコンバータでデジタルデータ化し、これをもとにnRF52モジュールでパワー値を算出し、ANT+規格で送信する。
ANT+対応のサイコンやsmart phoneでデータを表示・記録できる。


■組み立て方

豆電球を点灯するには、電池のプラスとマイナスを接続しますが、
マイコンとADコンバータも同様にプラスとマイナスを接続すると動作します。
ただ、仕様上、最低電圧が2.7vとされているので、DCコンバータで乾電池の出力を3.3vに昇圧します。





さらに、ADコンバータとnRF52モジュール(マイコン)間の通信を行う信号線を3本接続します。
各信号線の意味は:
MOSI=MasterOut, SlaveIn=親のnRF52から出力し、子のADコンバータへ入力の信号
MISO=MasterIn, SlaveOut=親のnRF52へ入力、子のADコンバータから出力の信号
SCLK=上記の信号線の通信速度を決めるクロック信号。
   (通信速度が、ピー、ピッピなのか、ピーーー、ピッーーピなのか決める)

ここに、REEDスイッチ(クランクが1回転したことを検知して、マイコンがパワー計算を開始するために必要)を取り付けて完成。(あ、あとAD7124に2つコンデンサをつけます)
小学生でもできてしまいます。


■ 胡散臭くないか?

昔は50万円、今でも数万円するパワーメーターを$49.99でつくれてしまうというのは、いかにも胡散臭い。
そこで、胡散臭さを分析してみた。

以下はパイオニアのパワーメーターの特許図面。


測定モジュール(Pioneerクランクに付いてる“おにぎり”モジュール)301の大部分は、nRF52モジュールとAD7124でカバーできている。
それ以上のものはない。
したがって、部品構成には胡散臭さはないと思う。

では、部品選択はどうか。
ANT+対応の無線送信機能を備えたマイコンは、Nordic社とTI社からリリースされている。パワーメーター各社がどちらのマイコンを採用してるか不明だが、ANT+規格を発案したDynastream社は、最近では、Nordic社のモジュールしか製品に利用していない。
また、消費電力もNordic社は優れており、多くのメーカは、Nordic社のnRF51を採用していると勝手に推測している。(nRF52モジュールは、リリースされて間もないので、あまりパワーメーターには採用されてないハズ)
PZ-4999が採用したnRF52は、nRF51の後継で演算速度と省電力性能が改善されており、勝ることはあっても劣ることはない。

ADコンバータ、AD7124-4は、最新世代の24bitのADコンバータ。
1秒間に100回程度読み取る設定で、スペック上の有効ビット数は22Bit.
パイオニアがパワーメーターを発売した2013年当時の24bitADコンバーターは、1世代前の性能で、スペック上の有効ビット数は20bit。
さらに1世代前のものは有効ビット数18bit。
AD7124-4は、最もノイズの少ない世代のADコンバータ。

eBayで$7で買った1000ohmのひずみゲージは・・・
胡散臭さがプンプンです。
今まで使ったことがないので、要経過観察です。
いままでは、大手のOMEGA社のものをメインに使ってました。
同じ条件で比較はしてませんが、明らかに感度が違うような・・・

一番重要なのはひずみゲージのパターンと取り付け位置であると、パイオニア、シマノおよび4iii社の特許を読んで勉強したので、PZ-4999では、今までとは異なるひずみゲージの張り方にしました。
これは次回以降で。
















11 件のコメント:

  1. パワー算出やキャブレーションはどのように行いましたか?

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  2. コメント、誠にありがとうございます。
    回答に代えて3月14日付けで記事を公開しました。
    頑張って書いてみましたが、いまひとつ分かりにくい仕上がりですので
    ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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  3. はじめまして!いつも興味深く拝見しております。ついに自分も自作パワーメーター を作ろうと部品をちまちま集め始めたのですが、別の記事にてひずみゲージはアマゾンなどで出ている幅広ゲージでは正しい値が出ないと書かれているのを見たのですが、それを見てちゃんとしたものを買おうと思っているのです。そこでどこ製のひずみゲージがよいなどがあれば教えていただけないでしょうか。自分が調べて一番良さそうに思ったのが共和電業と言うところのものです。またひずみゲージを取り付ける際クランクのコーティング等を削って貼り付けた方が良いでしょうか?

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  4. こんにちは!いつも興味深く拝見しています。自分もついにこのブログを元にパワーメーターを作る計画にとり移ったのですが、歪みゲージについての記事でアマゾン等に売っている幅の広いゲージでは正確な値が出せないと書いてあったのですが、どこの歪みゲージがいいでしょうか?自分が調べて共和電業という会社の歪みゲージがいいのではと思っています。また、歪みゲージを取り付ける際、クランクアームのコーティングは剥がした方がいいでしょうか?

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  5. 折角、コメントをいただいたのに、回答が遅れましてすみません。
    新しいアイデアがあったので、実験を行っておりました。
    それをふまえて4月19日付で記事を書きましたので、回答とさせていただきたいと思います。

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  6. はじめまして!いつも興味深く拝見しております。自分もDgradeDIY様を習ってパワーメーターを自作したいと思うようになりました。この記事にあるnRF52を使ってANT送信できるものを考えているのですが、マイコンへのプログラム書込みはArduinoのよくある基本セットでしょうか。それとも他の製品でしょうか。電子工作は初めてでPCとマイコンの接続法がわからず苦しんでいます。具体的な製品名を教えていただけるととてもありがたいです。何卒よろしくお願いいたします。

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    1. コメントありがとうございます。

      皆さんが、どこで疑問を持たれるのか理解できるので、大変助かります。

      ご質問のnRF52とPCの接続ですが、この記事を書いた当時は、
      nRF52-DKという開発ボードでPC接続をしていました。
      https://www.digikey.jp/products/ja?keywords=nrf52-dk

      後継品
      nRF52840-DK
      https://www.digikey.jp/product-detail/ja/nordic-semiconductor-asa/NRF52840-DK/1490-1072-ND/8593726

      ドングルでUSB直差し対応品
      https://www.digikey.jp/product-detail/ja/nordic-semiconductor-asa/NRF52840-DONGLE/1490-1073-ND/9491124


      上記のnRF52-DKとnRF52との接続については
      2017年7月23日に「nRF52モジュール比較」
      という記事で紹介させていただきました。
      http://dgradediy.blogspot.com/2017/07/nrf52.html
      こちらにある通り、nRF52がANT対応するには、
      発振子が水晶であること(精度が高いこと)が必要です。

      ANT Plus対応のプログラムを製作するために、
      Nordic社のSDK v.12を利用しておりましたが、
      これが難易度が高く、使うのをやめてしまいました。

      ArduinoでANT Plus対応のnRF52用プログラムを書く方法を把握していないため、
      別ま簡単な手法として、ANT送受信をしてくれるAP2モジュールというのを利用しています。
      これを使うと、どんなマイコンでも(Arduinoでも)ANT送受信が簡単にできます。

      2019年4月19日の「ArduinoとANT無線中継機とZWIFTオーバーテイクボタン」で
      ArduinoとAP2の接続方法およびソースコードを公開しております。

      ご回答が遅れまして申し訳ございませんでした。

      nRF52をArduinoでプログラムしてBLEのCyclingPowerService対応にする方法を発見し、夢中になってしまい、ブログのチェックを怠っておりました。
      こちらも近々公開できると思います。
      BLE対応はANT対応よりはるかに簡単であることが判明し、ANT非対応のAndroidでも受信できるので、利用範囲が広いと考えています。

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    2. DgradeDIY様、ご返事ありがとうございます!
      早速入手して取り掛かりたいと思います!
      これからも記事を楽しみにしています。

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    3. DgradeDIY様、昨日に続いて恐縮ですが、
      ご紹介いただいた記事をよく読み、ご返事と合わせて考えましたところ、
      自分はすでに「D52QD2M4IA-TRAY」(広義のAP2モジュール?)を
      入手してしまっているため、Arduino Microを購入して試してみようと思います。

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    4. わたしはArduino Microは苦手で使いこなせていないのでnRF52に移行してしまいましたが、USB直結のArduinoMicroを使われる場合、USBから供給される5vがAP2に流れないことをご確認されることをおすすめいたします。UARTのtx信号が5vになっているとnRF52が壊れる可能性がある、というかすでに5v流れてしまい2個壊してしまっております。

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  7. DgradeDIY様、ありがとうございます。D52を単なるANT送信器として使い、やってみようと思います!

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